仙台高等裁判所 昭和26年(う)135号 判決
証第一ないし、第三十八号物件については原審において直接証拠調をした記載はないが、原審は告発書添附の証拠物件総目録や、泉克二作成名義の保管証につき、適法な証拠調をして該物件は検察庁において領置したことを認め、且原判決に摘示した証拠により酒税法第六十条第四項掲記の沒収条件が具備していることを確認して之を沒収したことを窺知しえられたので、必ずしも執行不能の物件とも言いえないから、所論の如く沒収物件は裁判所により押収され、且つ法廷に提出せられたものに限ると断ずるのは当らない。論旨は理由がない。
(中略)
酒税法第十四条によれば「酒類を製造せんとする者は製造すべき酒類の各種類につき製造場一個所毎に政府の免許を受くべし」と規定し、同法第三条では「酒類を分ちて清酒、合成酒、濁酒、白酒、味淋、焼酎、麦酒、果実酒及び雑酒とす」と定め同法第六十条第一項では「免許を受けずして酒類を製造したる者は五年以下の懲役、又は五十万円以下の罰金に処する」と規定しているのであるから、一製造所で酒類を製造するには各酒類毎に政府の免許を得なければならない趣旨であり、従つて無免許で一製造所において同一種類の酒類を反覆製造した場合には一個の無免許酒類製造の罪が成立し、各仕込毎に独立した罪が成立するものではないと解すべきであるから、本件につき原審が後記自判の如く二個の犯罪事実を三個の独立した犯罪事実としたのは事実誤認であつて、其の誤認は判決に影響を及ばすことが明かであるから、此の点で原判決は破棄を免れない。